検索エンジンと戦争の思い出

先日、ホームヘルパーとして、3年ほど前からご訪問させて頂いているお爺さんのお宅へお伺いした時の事です。長年連れ添ったお婆さんに、2年ほど前に先立たれたお爺さんは、何か新しいことにチャンレジされたいとの事で、初めてノートパソコンを購入されました。私の訪問時には、必ずパソコンんお電源を入れては、幼少期に過ごしたという思い出の地を画像検索したり、Googleマップなどで最近の情報などに触れ、驚嘆の声をあげていらっしゃいました。最近はようやく、お1人の生活にも慣れてきたようで、落ち着いた様子で過ごされているので、お爺さんのお宅への訪問日には、私自身も多少安心した面持ちでお伺いできるようになっていました。長らく学校の教員をされていたというお爺さんは、とても勉強熱心な方で、パソコンのタイプングなども、「タイプライターやワープロで手先を動かしていたから似たようなものだよね」と言いながら、日々、パソコンの操作も上達されています。目が悪くなるからと言って、私が訪問した時間内でないとパソコンには電源を入れていないようなのですが、毎回、本当に熱心に色んな質問を頂いております。どうしてこのような、ホームヘルパーとしての日常を書き込むきっかけとなったのかと申しますと、お爺さんが、先日、Googleの検索エンジンを使って、「せお」という文字を入力していたのです。私は、ご利用者さんの行動には、あまり口出しはしない事にしていますので、その様子を傍でながめていますと、検索結果の画面には、SEO対策などの関連会社の広告のようなものが表示されていました。お爺さんは、再度、Googleの検索エンジンの入力画面に戻り、「せお」と入力し直します。すると、検索結果には再度、「SEO」関連の業者名が検索結果のトップに表示されました。私が「何をお探しですか?」とお尋ねすると、「戦争で、亡くした友人の名前」だと言うのです。「せおさんとおっしゃるのですか?」とお尋ねすると、お爺さんは、「せお君の写真でも出てこないかなと思ってね」と、かわいらしく笑ってらっしゃいました。Googleの検索エンジンのカーソルを指差しながら「ここに文字を入力すると、昔の写真やら、田舎の風景やらがでてくるもんだから、せお君も出てくるかなと思ったのじゃがね」と、遠い日を思い出すようにノートパソコンの画面をみつめていました。たしかに、検索エンジンに知りたい情報の文字を入力すれば、たいていの情報は探す事のできる時代になりました。今は、お爺さんにとっては帰る事の難しい田舎の風景が、ノートパソコンの画面いっぱいに出てくると、お爺さんは、声、高々に感嘆していました。まさかお爺さんが、ノートパソコンを開いて、自身が戦争で失った思い出を検索しているとは思いもしませんでした。検索エンジンに文字を入力するお爺さんの気持ちに、今まで、全く気がついていませんでした。これから将来、検索エンジンの精度が上がり、人の心を読み取れるような人工知能を搭載したような未来には、検索エンジンに入力した文字から、その文字の深い意味や背景まで読み取れるようになるのでしょうか?戦争を語る人々がいなくなってしまう中、検索エンジンに戦争の思い出を求めて、文字を入力する人々は、この先出てくるのでしょうか?そんな戦争や、お爺さんの思いを抱きながら、ヘルパーとしての日常の出来事を書きとめる事に致しました。

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